私の研究テーマの1つは,高次元データ解析の理論と方法論の構築です.近年,ビッグデータという言葉に代表される電子的に処理可能なデータの飛躍的増大や,コンピュータの処理能力の向上,人工知能等の技術革新が進んでいます.これからはデータの活用がこれまで以上に求められてきます.

ビッグデータの1つの特徴は,次元数が膨大であることです.特に,困難な設定が次元数が標本数に比べて遥かに大きな高次元小標本という設定です.例えば,マイクロアレイデータでは,数万から数百万の遺伝子数(次元数)をもちながら,数十程度の標本数しかありません.
従来の統計学は次元数よりも標本数が十分に大きいことを前提としているため,そのまま使用するだけでは解析できません.ときに,従来の統計学は高次元小標本データ解析において,次元の呪いに起因する様々な問題が発生します.

青嶋研究室では,高次元小標本におけるデータ空間の幾何学的表現や双対空間を生かした解析方法の提案してきました.一連の研究は高く評価され,様々な賞を賜っております.

これまでは統計学の理論研究を進めてきましたが,現在は日産自動車の総合研究所の所属となり,機械学習や深層学習を応用現場で利用しています.

統計学・機械学習を数理的に学ぶことができる教育体制と研究環境は,今後,さらに重要になっていくことと思います.現職での研究の推進とともに,これまでの経験を活かし,高等学校での授業や大学との共同研究等を通して,社会に貢献していきたいと思っています.